2008年10月12日日曜日

Patent and Permission of New Drugs

Drug Lag vs. Patent Lag: Patent and Permission of New Drugs:新薬に対する特許と薬事法審査承認
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 国内では医療体制や医療費負担が政治的大問題となり、国際的には鳥インフルエンザやエイズ治療薬の全人類供用が人道大問題となっている。
 一方、新薬の特許については知的財産権政策の面から、電子産業分野等と異なる特許権の機能の特徴が内閣知財戦略本部において検討され、特許行政が医薬品分野についてはどのように対処すべきか、少なくとも策定の段階に達している。

 他方、新薬の薬事法審査承認について、わが国における審査の遅さが製薬業界と患者の双方から指摘され続けてきたが、先般、週刊東洋経済(19 Jul. 2008)が特集した「ここが問題! 日本のクスリの七不思議?」の「不思議」の筆頭に「なぜ日本では未承認? 新薬審査が遅すぎる」などを読み返すと、その副題「日本に住んでいるために必要な薬の治療を受けられない。この現実に打ちひしがれる思いの患者は少なくない。政府はラグ短縮にどこまで本気なのか」に同感させられる。新薬の薬事法審査承認ラグが、特許許可ラグ以上に切迫した福祉課題・人権課題と考えられてくる。

 上記記事に引例されたK、B両女性の闘病実情を読むと、更に痛切に感じられる。SANARI PATENTが要約すると、
(1)  Kは、1998年に消化器癌の一種GISTを発病した。
(2)  2001年、日本ではGISTへの医療保険適応が認められていない抗癌剤グリベックによる治療を開始した。その効果は歴然で、腫瘍は7割も縮小した。
(3)  Kは、グリベックのGISTへの適応拡大を求めて30万人の陳情署名を集め、やっと認められたのは2年半後であった。
(4)  その間、毎月の治療費は40万円で、全て自己負担した。承認後は8万円に低下した。
(5)  余命3カ月、延命治療しても1年ももたない」と家族が告げられたのが、現に10年を経ている。
(6)  別のB女は、2004年に卵巣癌と告知されていたが、米国では承認されているドキシルが日本では未容認で、1回投与に全額自己負担で60万円を要するとの現実に直面し、2007年に2万9千人の署名で承認を陳情した。しかし厚生労働省からは、「審査の順番待ち」という応答で、まだ承認されていない。

SANARI PATENT所見
 特許ラグ(審査滞貨)の解消については、日米で相互に審査結果を承認し合う方向性が既に起動している。同じ疾患にについて、新薬の承認が同様に日米相互、すなわち、米国で可ならば日本でも可で利用を促進すべきではないかと発想することも自然であろう。佐成重範弁理士はJFDA(日本の新薬安全性試験研究機構:食品薬品安全センタ)の常任監事を勤めた経験から、医薬品作用の人種差も心得ており、特許ラグと薬事法審査承認ラグを同一に論じ得ないことも弁えているが、「七不思議」の筆頭の「不思議」は解決して欲しい。
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Drug Lag 、Patent Lag、新薬、薬事法審査承認、JFDA

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