2008年3月12日水曜日

UNITIKA Wins TORAY at IP High Court 3/6

UNITIKA Wins TORAY at IP High Court Decision 2008-3-6:東レ特許権「エア-フィルタ-用不織布・エア-フィルタ-装置」の無効訴訟にユニチカ勝訴
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 第3世代太陽電池 (08/3/11)
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  「発明の詳細な説明」の適否に関する知財高裁の最近の判決を考察する。

1. 知財高裁が東レの請求を棄却(2008-3-6): 審決取消請求18-10448事件判決)
1-1 今次原告東レ(訴訟代理人・岩見知典弁理士ほか)は、「エア-フィルタ-用不織布およびそれを用いてなるエア-フィルタ-装置」の特許権者であるが、今次被告ユニチカ(訴訟代理人・奥村茂樹弁理士)は、東レを被請求人として本件特許をの無効とすることを求めて、特許庁に対し、特許無効審判を請求した(2004-12-2)。
1-2 特許庁は、本件特許の請求項1~7発明についての特許を無効と審決した(2005-9-27)。
1-3 東レは、知財高裁に1-2審決の取消訴訟を提起した(2005-11-1)。
1-4 東レは、1-3の訴訟提起後、90日の記間内に、特許請求の範囲の縮減等を目的とする訂正審判を請求し、知財高裁は、1-3審決を取消す決定をした。
1-5 このため特許庁はさらに審理し、1-2特許は無効と審決した(2006-8-28)。
1-6 東レは、1-5特許無効審決の取消を知財高裁に求めたが、知財高裁は東レの請求を棄却した(2008-43-6)。

2. 特許庁が本件東レ特許権を無効と審決した理由(SANARI PATENT要約)
2-1 本件1-4訂正明細書の「発明の発明の詳細な説明」には、当業者が本件訂正発明を実施できる程度に明確・十分に記載されず、また、特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が、発明の詳細な説明に記載したものであること、および、特許を受けようとする発明が明確であることに適合しない。
2-2 すなわち、「くぼみ」「うねり」「表面粗さ」「測定方向」「平均値算定方法」などの語義等が明確でない。

3. 東レの主張(SANARI PATENT要約)
3-1 「くぼみ」が、「不織布表面に熱圧着によって部分的に形成されたくぼみ」であることは、明らかである。
3-2 「被測定面において、表面粗さが最も大きく現れる方向に測定すること」は技術常識である。
 (以下略)

4. 知財高裁の判断(SANARI PATENT要約)
4-1 本件訂正発明においては、圧着部の形状、深さとして各種のものを含み、また、圧着部が規則的に配置されるものに限られず、不規則に配置されるものを含むと認められる。
4-2 東レは、エンボス加工によって圧着部の深さが均一であると主張するが、本件訂正発明は、エンボス加工によると限定していない。
(以下略)

5. SANARI PATENT所見
知財高裁は、争点ごとに、「実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていないとまでは直ちには言えない」、しかし、「別の理由によって、特許を受けようとする発明の詳細な説明を記載したものではないと言わざるを得ない」など、ユニチカおよび東レの主張と、特許庁審決の理由を、工業標準規格等を引用しつつ精査された結果を述べている。「明確な記載」の参考とすべきである。
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
東レ、ユニチカ、エア-フィルタ-、不織布、知財高裁

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