2008年3月13日木曜日

EPO Raises Patent Fees

EPO Raises Patent Fees:欧州特許庁が4月から特許出願料金を値上げする背景
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
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1. 欧州特許庁の特異状況
1-1 わが国や韓国は特許出願関係料金(手数料と同義)低減の方向にあるが、欧州特許庁は4月1日から請求項料金を始め、特許出願関係の料金全てを約5ないし10%値上げする。
1-2 欧州特許庁の料金を含めて、特許取得に要するコストの増高は欧州諸国の大きな課題となっている。しかし、その緩和策も考究・措置されつつある。
1-3 London Agreement が今年5月1日に発効し。翻訳経費が節減される(2-3参照)。
1-4 英国は、今年2月に始めて、コンピュ-タプログラムの特許性を認めた(審査基準変更通達)。媒体特許とプログラム特許を含むが、日米とテンポが著しく相違している。

2. 前特許技監・小野新次郎弁理士による欧州特許事情の解説(パテントVol61)(SANARI PATENT要約)
2-1 現在欧州で企業が最も懸念している問題は、特許取得に要するコストである。産業界としても非常に懸念している。基盤にある大きな問題としては、EPC(欧州特許条約)の加盟国が急増し、質の維持が困難になってきた。翻訳負担も急増する。(SANARI PATENT 注:昨年11月に、クロアチアが欧州特許条約(EPC)に加盟した)。
2-2 現ドイツ政府は、EPLA(European Patent Litigation Agreement:欧州特許訴訟条約)の実現によってEU内の特許訴訟の一本化を強調している。
2-3 また現ドイツ政府は、London Agreementの実現を強調してかたが、これによって欧州特許条約(EPC)加盟国間は、請求項の翻訳のみで足り、全文翻訳する必要がなくなる。
2-4 従来、欧州では特許取得の初期コストの4割が翻訳費であったが、London
Protocolによれば、欧州特許庁で特許された場合、欧州特許庁の手続言語(英独仏)以外の公用語を使用している指定国においても、全文の翻訳でなく、請求項の翻訳(公用語)で足りるようになった。

3.SANARI PATENT所見
わが国では一般的に、「欧州特許庁は、加盟欧州諸国特許庁の束(たば)である」と解説されてきた。欧州特許庁と各国特許庁とが並存しているので、これらの各特許制度と審査基準、運用を究明しないと、欧州特許の現実を理解できない。
特に現在、世界関心の的である幹細胞関係特許など、生物:医療関係の特許性に関する考え方と制度には、字句のみでは 把握できない三極間相違がある。
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
EPO、EPC、欧州特許庁、クロアチア、幹細胞

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