2013年1月1日火曜日

新春に期待する「進歩性」の進歩


弁理士 佐成重範 Google検索 SANARI PATENT




10年ほど前には、知財立国の熱気が高く、知財基本法の制定、内閣知的戦略本部の発足、知財高裁の新設と相次いで、特に知財高裁はエネルギッシュに、多数の特許権侵害訴訟に対する判断を示した。争点の大部分は特許権付与の法的有効性、すなわち、出願あるいは特許付与された発明が、特許法所定の特許要件を充足するか否かにあった。そのうちでも「想到容易性」の有無争い、発明者が、従来技術から出願発明を容易に想到であったか否かが進歩性の有無を左右し、従って、容易想到性の判断基準とその適用が特許権の成否、特許権付与の有効性を決定することとなり、基準と適用の妥当性が、特許庁の査定・審決の段階、および、特許庁審決と知財高裁判決との間で相違するケースを多発したことは周知の通りである。

この問題は、「特許権の法的安定性」に関するものとして、知財立国の基盤である特許権の有効性がぐらつくことは「もってのほか」というような感触で語られることも多いが、進歩性具有の有無の判断が多様になされ得る本質を持つ以上、特許庁の査定が特許庁の審決によって覆され、特許庁の審決が知財高裁によって覆されることがあるのはむしろ当然で、このことにより、真の意味での特許権の法的安定性が確保されると考えなければならない。換言すれば、「進歩性判断」の進歩をこそ、新年に期待すべきなのである。

(訂正の御要求は sanaripat@gmail.com に御送信下さい)

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