2011年9月24日土曜日

NTTファシリティーズが、対特許庁長官知財高裁訴訟で勝訴(09-20判決)

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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本件原告・株式会社NTTファシリティーズ(本件訴訟代理人・志賀正武弁理士ほか)は、「TVプロテクタ」(標準文字)・指定商品「配電用又は制御用の機械器具、回転変流記、調相機、電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその他の部品」について商標登録を出願したが拒絶査定を受けたので、不服審判を請求したが、特許庁は、「本件審判の請求は成り立たない」と審決したので、NTTファシリティーズは、特許庁長官を被告として、この審決の取消を知財高裁に訴求し、知財高裁は、NTTファシリティーズの請求を容認して上記審決を取消すと共に、訴訟費用は被告・特許庁長官の負担とすると判決した(平成23年行ケ10085号・審決取消請求事件:判決言渡2011-09-20)。
商標法第4条は、「次に掲げる商標については、商標登録を受けることができない」として、「その商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であって、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用するもの」と定めている。
特許庁審決は、
(1) NTTファシリティーズの本願商標{TVプロテクタ}中、「TV」部分が大文字で、「プロテクタ」部分が片仮名文字で記され、視覚上、分離して看取される場合があること
(2) NTTファシリティーズのこの商標は、構成全体で何らかの特定の意味合いを看取させるものである等、これを常に一体不可分のものとして看取しなければならない特段の事情は認められないこと
(3) 「TV」の文字は、テレビジョンの略であって、本願商標の指定商品中の「テレビジョン受信機」を意味する語として認識されるから、指定商品「電気通信機械器具」に使用する場合、自他商品の識別標識としての機能を有するとは言えないこと、などを理由として、既に登録されている商標「PROTECTOR」(標準文字)・(指定商品:商品に取り付けた感知ラベルやタグを検知し警告する万引き防止装置及びそのセンサー、電気通信機械器具・商標権者:チェックポイント システムズ インコーポレーテッド)と対比して、呼称及び観念が類似し、登録できないと判断した。
知財高裁は上記判決において、「本件NTTファシリティーズの商標のような複数の構成部分を組合せてなる結合商標について、その一部を抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して類否を判断することは、原則として許されない」と判示し、NTTファシリティーズの請求を認容して特許庁審決を取消した。
SANARI PATENT所見
上記知財高裁判示中「原則として」の例外場合を示した部分の適用を含めて、商標の経済価値がグローバルに発揮される時流に即して、今次知財高裁判決を考究すべきである。
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