2011年2月7日月曜日

知財立国を支えるべき諸専門職の現況

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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知財が経済成長の起動力たるためには、弁理士のみならず、弁護士・公認会計士・科学研究者など多くの専門家の協業を要する。内閣知財戦略本部は発足と同時に、これら専門家の大量増員、当面、倍増を掲げて、弁理士・弁護士・博士の増員が実行過程に急進した。
しかし現在、週刊エコノミスト2010-12-30は「弁護士・会計士たちの憂鬱」特集増刊号を発行し、講談社は「院生・ポスドクのための研究人生サバイバルガイド」副題「博士余り時代を生き抜く処方箋」を発刊(2010-12-20)して、これら専門家の余剰現象を解説している。
特に講談社の上記著作は独立行政法人科学技術振興機構の技術参事現職で特許庁長官奨励賞も受けた菊池俊郎氏によるもので、数値が精確と思われる。今後の参考資料として摘記しておきたい。
1. 大学院在学者数は、1991-05-01時点の9万8650人が2008-05-01時点には26万2686人、2.7倍になった。内訳は、修士課程6万8739人から16万5422人で2.4倍、博士課程+専門職学位課程が2万9911人から9万7264人で3.3倍。
2. 博士号を持つ最高の人材が社会に出て活躍する場が、毎年60%程度にしか与えられてないというのは、科学技術立国を掲げる日本にとって大きな損失だ。さらに、就職できなかった残りの40%ほどの人が、非常勤講師あるいはアルバイト程度の研究補助者、無給の研究生という高学歴ワーキングプアになっている。現在その総数が約1万6000人に達している。
SANARI PATENT所見
先ず「ポスドク」という言葉が、上記書では「博士号を取った後に、任期制の職についている有給研究者もしくはそのポストのこと」と明示している。だから、ポスドクは全て現に満足に就職しており、任期制による任期切れ後の保障が無いことだけが問題である。一般的には「ポスドク」と言えば博士課程の後、すなわち、博士課程修了者を意味し、その就職難が大卒並みであることを言っていると思う。例えば「ポスドクと大卒の未就職者の半ばは、中小企業にでも就職したい、と言い始めた」というように報道されたりしている。
関連する数値は、統計が遅いし、相互に矛盾するように思われる節もあるが、上記書に「弁理士の活用法」まで出ているのを見ると、自分の発明を出願文書に表現することもできない程度の、非実用的博士教育なのかと思ってしまう。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 

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