2010年9月6日月曜日

Procter and Gamble Wins on Patent Application Suit to Japan Patent Office at IP High Court

Procter and Gambleが特許庁長官を被告として知財高裁勝訴
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
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先進国での高齢化や新興国・途上国の生活水準向上で老人・乳幼児用の高品質「おむつ」の需要が急増しているが、おむつ等に使う「吸収物品」の発明について、Procter and Gamble社が特許出願したところ、拒絶査定され、その取消審判請求も「成り立たない」と審決されたため、Procter and Gamble社は、特許庁長官を被告として、この審決の取消を知財高裁に訴求した。知財高裁はProcter and Gamble社の請求を認容し、特許庁の審決を取消した(2010-08-30)。
WikipediaによればProcter and Gamble社は、米国に本拠を置く世界最大の一般消費財メーカーで、Healthcare製品・洗剤・化粧品・Homecare製品・ペットフードなどを製造販売し、日本でも、Procter and Gamble Japanを展開している。
Procter and Gamble社は発明の名称を「伸縮性トップシートを有する吸収性物品」とする発明について、特許出願したが拒絶査定されたので、不服審判を請求したが、「この請求は成り立たない」と審決された(2009-09-01)。Procter and Gamble社(訴訟代理人・勝沼宏仁弁理士ほか)は、この審決の取消を知財高裁に請求し、知財高裁はこの請求を認容して、特許庁の審決を取消し、訴訟費用を被告特許庁長官の負担とした(2010-08-31)。
今次訴訟の主たる争点は、「特許を受けようとする発明が明確か否か」であって、知財高裁は、「当裁判所は、Procter and Gamble社の出願発明が独立特許要件を欠くとして出願を却下した審決には、特許法の解釈・適用にについて誤りがあるから取消されるべきである」と判断した。すなわち、「特許を受けようとする発明が明確でなければならないという規程の趣旨は、仮に明確でない場合には、特許が付与された発明の技術的範囲が不明確となり、第三者に不測の不利益を及ぼすことがあり得るので、これを防止することである。そして、明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけでなく、願書に添付した明細書の記載および図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術的常識を基礎として、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確か否かという観点から判断されるべきである」とし、記載不明確を理由とする本件審決は取消さるべきである」と判示した。
SANARI PATENT所見
発明の明確性の立証において、参考とすべき判決である。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 

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