2010年9月9日木曜日

Costs for Preventing High Yen Exchange Rate Presented By Asahi Column

円高阻止のコスト論と円高活用M and Aによる知財戦略
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
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世界の為替市場が円の独歩高の観を呈し、協調介入の可能性が見られないのに介入を促す声がマスコミで拡大されるなど、円高とデフレの不利のみ強調し、更には経済不況継続の主因をこれに帰する論説まで盛大な偏向ぶりである。この風潮下で朝日・経済気象台コラム(2010-09-08)が「円高阻止のコスト」と題して客観的に適切な見解を示したことは、知財流通の見地からも極めて高く評価すべきである。その内容(SANARI PATENT要約)は、
1. 政府は、円高を懸念し、日銀も交えてその阻止に努めるとしている。しかし、現在の円高進行の背景を考えると、これを阻止するコスト、すなわち国民の負担は、かなり大きくなる。
2. 先ず、現在の円買いの主役は、日本経済を狙い打ちするファンド筋ではない(SANARI PATENT考察: 証券取引を含めて、日本経済に流入しているファンド総額は、Lehmann Shock前の半分以下と一般に見られている)。最近のヘッジファンドは資金の流出が目立ち、積極的に相場を動かす力がなくなっている。代わって相場に影響力を持ち得るようになったのが、日本の個人投資家と中国の外貨準備ファンドだ。
3. 数字での把握は困難だが、近年個人の投資マネーが急増し、ヘッジファンドにも恐れられるほどの影響力を持つようになったそのマネーが、海外経済に不安の芽が大きくなると、外貨売りの円買い戻しを呼び、円高要因になる(SANARI PATENT考察: 文脈から見て、「個人の投資マネー」の個人は日本人の個人で、その金融資産1400兆円規模が日銀発表に現れているが、外貨操作に出動している額は、直接間接とも分からない。)
4. また中国は、外貨準備が既に2兆5000億ドルに昇り、ドルやユーロの不安定化のため、より安全な円や金にシフトしている(SANARI PATENT考察: このような対円信用の向上は先ず好ましいと考えて、これを活用する方策を考えることが政策の筋道であろう)。
5. この流れを止めるためには、米国の景気不安や欧州危機を和らげる必要があるが、日本にできることは限られる。それを無視してドルやユーロ以下に円保有を低価値にしたり、あるいはこれを不安に陥れたりすることは、為替の安定以前に、国民財産の安全保持に反する(SANARI PATENT考察: 極端に言えば国民に対する背任・背信行為ではないか、と言っているに等しいが、政府も日銀も用心深く、「為替の急激な変動」:は好ましくないと言っている。理屈は色々立てられているようだが、真剣に論争すべきである。)
6. 日本の金利は既に最低限にある。しかも日銀の実質実効レートによれば、円は15年前の水準よりも、まだ3割も円安だ。
7. 一部の輸出企業のために国民に一層の負担を強いるより、むしろ海外企業の買収を容易にし(SANARI PATENT考察: 知財の包括的買収ともなる)、輸入コスト低下の消費者還元を進めるなど、円高のメリットを最大限に活かせる仕組みを考える方が建設的だ。
SANARI PATENT所見
経済団体の首脳が輸出依存企業経営者であるために、政策が歪められているような受け取られ方を、厳に排除するためにも、上記朝日正論を熟考すべきである。 
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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