2010年5月11日火曜日

Fusion of Mathematics in Literature Suggests Fusion of Science and Humanistic Course

 内閣知財戦略本部唱導の文理融合人材と最近の数学文学
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
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 知財には、純科学的な発明要素と、その権利化・流通・法的攻撃防御、意匠・商標の心理性、著作権の思想性を含むから、内閣知財戦略本部が文理融合型人材の育成を唱導してきたのは当然である。一方、青少年の「理科離れ」などが嘆かれる折柄、最近好評を博している数学融合の文学作品二つに注目したい。
 一つは角川書店発行の、冲方 丁(うぶかた・とう)著「天地明察」で、もう一つは小川洋子著「博士の愛した数式」である。「天地明察」は江戸時代の江戸城内外が舞台で、春海(はるみ)という名の若い囲碁指南が登城する途中で、宮益坂の金王八幡神社に立ち寄るところから、物語が始まる。史実に忠実な小説で、江戸時代に、ピタゴラスの定理に相当する和文定理を始め、高度の数学定理も、かなり深く民衆に親しまれ、神社の絵馬に問題を書く人、その答案を書く人、それを眺めて楽しむ数学愛好家など、江戸時代に算術書も多く出版され、数学が技芸や商売の術である一方、純粋な趣味や娯楽でもあったことが、克明に述べられている。「数学離れ」どころか「数学好み」の江戸大衆だったのである。
「博士の愛した数式」については、新潮社が2003年発刊以降、既に236万部が幅広い層に愛読され、浜田奈美氏が新たに評論されたので(2010-05-09:朝日新聞)、その要点を摘記すると、「博士が語る数式や数学の話だ。マイナス1の平方根を、『目に付く所には姿を現さないけれど、ちゃんと我々の心の中に在って、その小さな両手で世界を支えているのだ』と語る具合に」、「数学という異質なものを文学に融和させたことが、多くの読み手を驚かせた」。「読者の中には、『友愛数』という素敵な言葉に、涙が出るほど感動した人もいる」、「筋金入りの数学嫌いという16歳の少女読者すら、『読み終わるたびにルート記号に受け入れられた数字の気分になる』そうだ」「28は完全数。28歳で死んだ息子は、息子なりに人生を全うしたと述べる母親」など。
 本質的に数学に親しむ素質をもった日本人の青少年を「数学離れ」と呼ばせるに至った原因・責任を、教育当局が深く反省すべきである。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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